令和8年8月1日
喫茶店の一角で私と母がコーヒーを飲んでいた時。「女って、いくつになっても甘いものが好きだねえ」目を細めて呟く母。見ると七十歳半ばのお婆ちゃん、ちょこんと座ってソフトクリームをなめていました。ところが手元が狂ったのかポトリと床の上に。慌ててティッシュを探す母と私。
その時一人でスタンドを切り盛りしていたお兄さんが、並んでいたお客さんに「すみません、ちょっとだけ待ってください」というが早いか、備え付けの紙ナプキンをごっそりとわしづかみ、カウンターをひとっ飛びしてお婆ちゃんのところへ。「大丈夫ですか?」そう言うとまず口の周りを丁寧に拭いてあげたのです。それから洋服についたクリームを拭いて、床に落としたものを始末してモップをかける。それはお見事と言って良いほどの手際の良さでした。
カウンターの中に戻り「どうもお待たせいたしました」、そう言って頭を下げたお兄さん。手が空くと、今度はちょと少なめのソフトクリームを、お婆ちゃんにさり気なく手渡していました。細やかな心配りを実に自然にやってのけたお兄さん。
暑い日の、爽やかな一陣の風のようないい話。
本日のご来店、心よりお待ちいたしております。
合掌
令和八年八月一日


