令和7年1月25日
お客様、ありがとうございます。
三十年前の一月十七日。その日は主人が留守のため、たった一人で眠っていたところに、あの阪神大震災は起こった。凄まじい音を立てて家の中のすべてのものが倒れた。無我夢中でパジャマのまま外へ飛び出すと、外では停電で真っ暗な中を、大勢の人が口々に何かを叫んでいた。新婚で引っ越ししたばかりで近所に知る人も少なく避難所の場所さえ分からない私は、余震が続く中を心細さと寒さと恐怖で一人で震えながら立ちすくんでいた。
すると、「これ着とき」と声がして、ある女性が毛布を身体に掛けてくれた。そして、「一人なんやったら、私達とおったらええよ」とまで言ってくれた。安心したのと毛布の暖かさとで、それまで張り詰めていた気持ちが一気に緩んだ私は、しばらく涙が止まらなかった。やがて心も体も震えが収まった私はその家族にお礼を言って彼女から聞いたとおりの道を避難所へと向かった。未曾有の震災で死の恐怖を感じたあの時に温かく包んでくれたあのぬくもりを、私は一生忘れない。(涙が出るほどいい話から)
日向灘地震が無いことを祈りたい。
本日のご来店心よりお待ちいたしております。
合掌
令和七年一月二十五日