令和6年12月7日

お客様、ありがとうございます。

夫を亡くして一〇年になる。

働いているときはさほど感じなかったが、職を失い、新しく狭いアパートに一人で暮らし始めたら、一日中、人の顔を見ることもなく、話すこともないので、声が出にくい状態になるものらしい。

変なものである。

そんなある朝、ゴミを捨てに行こうと考えていると、「おはようございます」と元気な声がして五年生くらいの男の子が、大きなゴミの袋を持って走り抜けていき自分のゴミを捨てて戻って私に言った。

「捨ててきてあげる」「まあ、ありがとう」。

私もおばあさんに見られたものだと苦笑したが、とても嬉しかった。

声をかけられることがこんなに心を温かくするものとは…。

五四軒の家族が住む一つの玄関のアパート。皆が挨拶を交わし合う「ここ」が大好きになりました。

                   「涙が出るほどいい話」 札幌市 栗野けい子

隣近所でも、挨拶ひとつ交わすことさえ、少なくなった世の中です。心を繋ぎ、助け合い、支え合ってこその人間社会だと思うのですが。

本日のご来店心よりお待ちいたしております。

                                    合掌

令和六年十二月七日   

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