令和5年11月4日
お客様、ありがとうございます。
種の力。それは私が農業を始めて一番驚いたモノ。種は置かれた環境に合わせて適応する力を持っている偉大な生命だ。小さい頃、私は東京の郊外に住んでいた。近所のおじいさんの農作業を手伝ったお駄賃代わりに枝から直接もいで渡されたトマトのおいしかったこと。
アメリカでの生活を経て日本で野菜作りを始めたとき、あのおじいさんのトマトにどうにか近づきたくて夢中になった。でも現実は厳しかった。本を読み勉強し奮闘したけれど、まともに実がならない毎日。頭にきて畑を見渡すと、ふと、雑草に目が向いた。この子達は抜いても抜いても伸びるのに何で野菜はそうならないのだろう。そう思ったのが自然農法に出会うきっかけであった。
在来種の種を蒔き無肥料無農薬で、自然の力を利用する。そうすると種は、置かれた環境に自分で適応する。最初は不安だったけれど、実はなった。そしてその美味しさはおじいさんのトマトに近いモノだった。毎日畑にできた野菜をもいで、食卓に載せる。一番美味しさが引き立つ方法で料理する。それだけでとても満ち足りた気分になる。
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本日のご来店心よりお待ち致しております。
合掌
令和五年十一月四日