令和2年5月10日
夏休みになった晩、「お母さん、で、おいたちの記を書いていかんならんのや、の生まれた時のことから話しとくれ」お母さんはっておのほうへ行き、を持ってきました。黙って渡しました。
「何包んでんのや」開いてみたら、まだ包んである。
次のを開いてもまだ包んである。「何をたいそうに包んで、包んでしとんやろうか」開いて、開いて、開いて、開いていきましたら、最後に出てきたのが、だったといいます。
「何だバカらしい。爪なんか」と言い返した時に、お母さんが、「あんたが生まれてくれた時、どんな子が生まれても、をいうていくとこなかったのに、両手にちゃんと十本の指がっていてくれた。お母さんはうれしうてうれしうて、あんたの最初の十本の爪を、お母ちゃんの宝物にして、大事にしてきたんやで」とおっしゃった時、その中学三年の、の、いうこと聞かんやつが、「お母ちゃん……」いうて、お母さんの首ったまにくっついて、膝の上にぽとぽとと涙を落としたのです。 東井義雄「いのちの教え」より
今日は母の日。お母さんありがとう。お母さんの愛情に報いられるようきっと幸せな人生をおくります。
本日のご来店心よりお待ち致しております。