令和6年6月22日
お客様、ありがとうございます。
禅の山田無文老師は、色紙を求められると、大きく幸福の「福」という字を書き、その下に「わしゃいらん」と書き添えられておれました。
「福はわしはいらんから、あなたに差し上げる」と。人が幸福になる道がこの言葉に集約されてます。仏教では、幸福になる方法の第一に「布施」、つまり「施し」があります。あげることが出来る人が、実は一番の幸福者なのです。自分にいらないのは、既に自分が幸いに満たされているからです。誰かにあげられるその事自体が幸せなのです。本当の福者は、人様に福を差し上げることの出来る人。幸福だから、人様に差し上げたいという気持ちを持
てるのが、本物の福者でしょう。福を差し上げることで心豊かになれるのです。
あれもこれもあげて、何もなくなって。でも、そもそも持っているものは自分のものではない。自分の身体すらも、借り物でしかありません。
借り物でしかないものを、幸い今持っている。借り物だからいつかお返ししなければならない。その真実が心の底から分かる人こそ心の豊かな人です。今はそれがある幸せを感謝しお返しする時まで大事に使うのです。 臨済宗妙心寺派管長河野太通
本日のご来店心よりお待ちいたしております。
合掌
令和六年六月二十二日