令和6年3月9日
お客様、ありがとうございます。
大事なお仕事の前に磨いていかれるお客さんが多いから、いつも一所懸命磨かせていただくんです。お客さんの中には、私が磨いた後で商売が上手くいったり、貧乏だったのに社長になったりして、喜んでまた来てくださる方もいるんですよ。
「おばさんに磨いてもらうと、いいことがあったよ」って(笑)。
靴墨を布でやると、靴墨が布のほうに入っちゃうから、直接手で塗り込んで靴に染み込ませるんです。自分の手は汚れたら洗えばいいでしょ。でも、そのおかげで指紋がなくなっちゃった。
四十で始めて、いま九十二だから、もう五十二年。あっという間だね。座ってやってるから、楽そうに見えるでしょ。でも、腰は痛いし、脚は痛いしね。仕事は大変だけど、辛いとは思いません。仕事があってしあわせって思わないとダメね。
だって、九十二にもなって仕事なんてないでしょ(笑)。どんな仕事でも、私はいまも、土日以外はずっと働いてるから、元気で長生きしてると思うんですよ。
銀座の靴磨き 中村幸子さん(九十二歳)
本日のご来店心よりお待ち致しております。
合掌
令和六年三月九日