令和2年6月28日

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 125年前の明治28年、コレラに襲われた漁村で3日だけ働いて絶命し、神になった警官がいた。増田敬太郎享年25。佐賀県唐津市の増田神社の神である。

 唐津警察の巡査に任命されたばかりの彼は、コレラが蔓延している高串区に派遣された。

 巡査は新人とは思えない働きをする。患者の家の周りに縄を張って立入禁止とし、周囲を消毒し、生水やナマの魚介類を口にすることを禁じる。「コレラの薬を飲むと死ぬ」と言った風評を打ち消すために、根気よく誤解を解いて回る。その時死者は9人。むしろで巻いた遺体を急遽設けた山上の墓地まで、一人で遺体を背負って運び上げる。感染を恐れて手伝う人はいない。死物狂いで働いた巡査は3日目の午後、突然コレラを発症し、翌日「高串のコレラは、私が全部背負ってゆきます、安心して下さい」と、息を引き取る。

 不思議なことにその後間もなく高串区のコレラ感染は収束した。村民は増田巡査に感謝して、秋葉神社に遺骨を埋葬、後に祠や神殿を建てて合祀した。秋葉神社は増田神社となり、増田巡査は神になった。

 今でも7月26日に近い日曜日の夏祭りに、白馬に乗った増田巡査の人形が街を練り歩く。

 本日のご来店心よりお待ち致しております。

                                    合掌

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