令和7年8月30日
お客様、ありがとうございます。
今年百二歳となられた茶道裏千家前家元の千玄室氏(八月十四日ご逝去)が生前言われていました。
東日本大震災の苦しみから立ち上がるべく、沢山の人達が今も頑張っておられます。被災者の方とお目に掛かってお話をしたり、お茶を差し上げたりしました。あるお婆さんにお茶を差し上げた時、「ああ、このお茶が頂けてよかったな。お茶のことは知らんけど、この点ててもろうたお茶が、どんなに心を癒やしてくれたことか」としみじみ、言われました。それを伺ったときに私は「たった一椀のお茶でも、こんなに役に立つのだな。ありがたいな。もっともっと多くの方にこの一椀のお茶を飲んでいただいて、皆さんが少しでも苦しみ、
悲しみから逃れられるようにしなければいけない」と自分に言い聞かせたものです。大切なのは、そういう思いやりの気持ちを失わないで、他の人に対して手を差し伸べていくことではないかと。
その時に人生の本当の幸せを感じられるのではないでしょうか。「ありがたいな、もったいないな」という気持ちを多くの人が持っていただけたら、平和という言葉を使わなくても本当に落ち着いた世の中になっていくのではないでしょうか。
本日のご来店心よりお待ちいたしております。
合掌
令和七年八月三十日