令和7年3月22日

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百九歳で大往生された京都清水寺貫主大西良慶大和上。その和上を尋ねられて、アメリカのノー

ベル賞作家パールバック女史が、清水寺にお越しになられた時、和上に「あなたは九十歳を過ぎられてこれまでの人生で、一番働き甲斐というか、充実したというか、良かったと思われる時代はいつ頃でしょうか。」と尋ねられたそうです。

女史は「それは六十代か、七十代です。一生懸命にやった五十代ですかね」と、昔を懐かしむ言葉が出て来るかと思われていたのでしょうが、「今やね」と、ただ一言おっしゃいました。

九十歳も過ぎて、一般常識的には一番良い時代である筈がありません。実際に、和上はその頃、目も耳も不自由でしたし、身体の自由もききませんでした。その中で「今やね」と、お答えになられたことは、非常に味わい深いものがあります。

「今を喜んで、今を楽しんで、今を感謝して、この生きてる一日を本当に楽しんで、喜んで過ごさないかんで」といつも、巧みに法話されておられましたから「今が大切。今を喜ばなあきませんで」と言われたのでしょう。和上ご自身百九歳の最後の最後まで現役で勤めを果たされました。

本日のご来店心よりお待ちいたしております。

                                   合掌

令和七年三月二十二日

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