令和5年12月9日
お客様、ありがとうございます。
どんなにね、人から見て運が悪そうだとしても、ああ、私は運がいいなあ、なんて運がいいんだろうと思っているとね、運がよくなるんです。
私は六十歳の時にね、ニューヨークでものすごく感動したんです。ニューヨークの大通りを観光バスに乗って見物していたら、私のすぐ近くに腰をおろしていた一人の若い女がきれいに化粧してね、花飾りのいっぱいついた帽子をかぶって、満面に笑みをたたえ、見るからに幸福でたまらないという顔をしている。よく見ると、両手とも肩からすっぽり切り落とされたようになっているんです。それなのに嬉そうな、世にも幸福そうな顔をして、「私は両手とも肩からすっぽりと落ちています。でも、こんなによいお天気で気持ちがよいのに、両手が無いくらいのことで、この私が、幸福になってはいけない、とでもいうことがあるんでしょうか。人間は誰にでも幸福になる権利があるんではないでしょうか」とでも言ってるように微笑んでいる。この時の感動をいまも忘れないですね。
前向きでいつも、自分は運がいい、運がいいと思うんですよ。思うことですね。(作家 宇野千代)
本日のご来店心よりお待ち致しております。
合掌
令和五年十二月九日