令和2年9月13日
お客様、ありがとうございます。
夜間中学校(年齢・国籍の別なく一〇代から九〇代、外国人も多く、誰でもが通う公立中学
校)に通う生徒たちに「父」と「母」という漢字を教えていた時のことです。
「父」は斜めに線を引っ張って下にバッテンを書くだけだけど、「母」は「く」と「く」のさかさまを組み合わせ、不安定に傾いていて、中に点々まである。父は簡単だけど母は難しいと皆さんの一致した意見。
「先生、点々は略しちゃいけないの?一本の線でいいじゃない」「点々はお母さんのおっぱいを表しているから、簡単には変えられません」と答えると、「ええ!?おっぱい出していいの?」と大騒ぎ。すると、ある生徒さんが「先生、悪いけど私にはお母さんのおっぱいには見えません」と。困ったなと思っていると、その方は「私にはお母さんの涙に見える」と。すると他の生徒たちも「そうだ。あれはお母さんの涙だ。おかあさんの涙は大事にしなくちゃな……」と頷き、それぞれが苦労の多かったお母さんの話を始めました。
若い頃、母の心など知らずどれだけ反抗したか。逆らったか。溢れ出る涙をそのままに
皆さんが語り出しました。誰にでも、母はいつまでも、どんなときでも、心の中に生きて
いるのです。松崎運之助(夜間中学校教諭)
本日のご来店心よりお待ち致しております。